純物質は、ただひとつの物質だけでできているものです。
言い換えると、混合物は複数の純物質からできています。
純物質がもつ融点や沸点、密度といった性質は、それぞれの物質で常に一定です。
混合物・純物質
混合物とは、2種類以上の物質が混じり合っている物質のことをいいます。
一方、純物質とは、ただ1種類の物質だけでできた、純粋な物質のことをいいます。
純物質
純物質は成分が1つだけの純粋なものです。
例えば、水、食塩(塩化ナトリウム)、エタノール、鉄やアルミニウム、酸素や二酸化炭素などは純物質です。
純物質である水は、すべて水という物質だけが含まれています。純物質である食塩は、そのすべてが塩化ナトリウムという物質だけでできています。
混合物
これに対し、混合物はいろいろな物質が混ざってできています。例えば、食塩水や空気、ブロンズ(青銅)などは混合物です。
混合物は、2種類以上の純物質が含まれていると言い換えることができます。
食塩水は、純物質である水と、純物質である食塩(塩化ナトリウム)が混ざってできている混合物です。
空気は、純物質である窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素などの気体が混じり合ったものです。ですから、空気は混合物です。
芸術作品で見られるブロンズ像の材料は、ブロンズ(青銅)という合金です。ブロンズは、金属の銅やスズからできている混合物です。(このとき、銅やスズといった金属は、それぞれ単独では純物質です。)
混合物と純物質の特徴
純物質は単一の物質でできているので、その性質が正確に決まっています。純物質では、その沸点や融点、密度などは常に一定です。
しかし混合物は、いくつかの純物資が含まれているため、性質が一定になりません。
例えば、純物質である水は0℃で凍り、100℃で沸騰します。これに対し混合物である食塩水は、その融点や沸点が一定になりません。
水に食塩が溶けた食塩水は、0℃より低い温度で凍り、100℃より高い温度で沸騰します。また、水にどれだけの量の食塩を溶かしたかで、食塩水が凍る温度や沸騰する温度は変わります。
水とエタノールの混合物の沸点
純物質である水とエタノールをそれぞれビーカーに入れ、加熱するとどうなるでしょうか。その大まかなモデルをグラフで示します。
室温が20℃として、20℃の水を加熱していくと100℃まで温度は上昇します。水の温度が100℃に達すると、100℃を保ったまま水は沸騰して水蒸気になっていきます。
エタノールも同様に加熱してみましょう。20℃のエタノールを加熱すると、78℃でエタノールの温度は一定となります。
エタノールの沸点は78℃なので、78℃でエタノールは沸騰します。エタノールは78℃を保ったまま、液体のエタノールが気体のエタノールになっていきます。
それでは、水とエタノールを混ぜた混合物を加熱するとどうなるでしょうか。
純物質である水とエタノールは、沸点が一定でした。しかし混ぜ合わせた混合物は、沸点が一定となりません。
水とエタノールを混合する比率によってグラフの形は変わりますが、エタノールは温度が78℃で一定となったままで沸騰するはずが、そうなりません。
混合物なので、78℃からダラダラと温度が上昇しながら、エタノールは沸騰して気体になっています。
このように水とエタノールの混合物は、沸点がはっきりしなくなります。
銅とスズの混合物の密度
液体だけでなく、固体の純物質と混合物でも同じことがいえます。
例えば、金属の銅は純物質であり、その密度は決まっています。金属のスズも純物質であり、密度は一定です。
しかしこれらの金属の混合物であるブロンズは、密度が一定ではありません。銅やスズの混合の比率によって、密度は変わります。
また、純物質である銅やスズは融点が決まっていますが、その混合物であるブロンズは融点が一定とはいえません。
まとめると、水やエタノール、銅やスズといった純物資では、沸点・融点・密度などの性質が一定の値をとります。
しかしそれらを混ぜた混合物では、沸点・融点・密度などの性質が一定に決まらなくなります。
つまり、融点や沸点、密度といった性質を調べることで、純物質と混合物を見分けることができます。
問題演習
確認テスト1
次にあげる物質が純物質と混合物のどちらに当てはまるか、考えてみましょう。
- 空気
- 二酸化炭素
- ヘリウムガス
- 塩化ナトリウム
- ダイヤモンド
- ジュラルミン
- 銀
- ドライアイス
確認テスト2
以下の1~7で、物質として沸点が常に一定なものを選びましょう。
- 海水
- 蒸留水
- 牛乳
- エタノール
- 塩酸
- 石油
- 食用酢
実践問題1(2015追第1問問1)
純物質であるものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① 石油 ② オリーブ油 ③ セメント
④ 炭酸水 ⑤ 空気 ⑥ ドライアイス
(2015年度センター試験 追試験 化学基礎 第1問 問1 より引用)
実践問題2(2017追第1問問1)
純物質として最も適当なものを、次の①~⑦のうちから一つ選べ。
① 海水 ② 食酢 ③ 塩酸 ④ コンクリート
⑤ グルコース ⑥ 青銅 ⑦ 銑鉄(せんてつ)
(2017年度センター試験 追試験 化学基礎 第1問 問1 より引用)