もくじ
第1問
問1 正解 a 3 b 1
a
最外殻の電子数が 1 個の原子が、1 個の電子を失って 1 価の陽イオンになりやすいです。
1 × ベリリウム Be は原子番号が 4 で、 2 族元素の原子です。
最外殻の電子数は 2 個なので、2 価の陽イオンになりやすいです。
2 × フッ素 F は原子番号が 9 で、17 族元素の原子です。
最外殻の電子数が 7 個で、1 個の電子を受け取って希ガスと同じ電子配置になりやすいです。
したがって 1 価の陰イオンであるフッ化物イオン F- になりやすいです。
3 〇 アルカリ金属( 1 族)の元素は、最外殻の電子数が 1 個です。そのため 1 価の陽イオンになりやすいです。
リチウム原子は、原子番号が 3 で 1 族元素です。最外殻の電子数は 1 個なので、この電子を失って 1 価の陽イオンになりやすいです。
4 × ネオン原子は希ガスです。最外殻の電子数は 8 個で、安定な電子配置です。そのためイオンにはとてもなりにくい原子です。
5 × 酸素 O は原子番号が 8 で、16 族元素の原子です。最外殻の電子数は 6 個で、2 価の陰イオンとなりやすいです。
b
1 〇 ダイヤモンドとケイ素は、共有結合の結晶です。
ダイヤモンドは、多くの炭素原子 C が共有結合してできています。炭素原子 C の価電子は 4 なので、正四面体の頂点方向に共有結合はつながります。
そのためダイヤモンドは、正四面体形の構造を繰り返す、立体網目状の結晶となります。
ケイ素の結晶もダイヤモンドと同じように、正四面体形が繰り返された共有結合の結晶です。
ケイ素 Si は炭素と同じ 14 族の元素です。ケイ素の価電子の数も 4 個なので、ケイ素原子は 4 つの共有結合をつくっています。
2 × ドライアイスとヨウ素は、分子間力でできた結晶(分子結晶)です。
分子が規則正しく並んでできた固体を、分子結晶といいます。
ドライアイスは二酸化炭素であり、CO2 と表される分子です。ヨウ素は I2 と表される分子です。
CO2 や I2 といった分子が、分子間力という弱い引力で規則正しく固定されると、分子結晶になります。
3 × 塩化アンモニウムはイオン結晶、氷は分子間力(水素結合)による結晶です。
塩化アンモニウム NH4Cl は、陽イオンであるアンモニウムイオン NH4+ と、陰イオンである塩化物イオン Cl- が静電気的な引力(クーロン力)で固定されてできたイオン結晶です。
氷は水 H2O が冷やされて固体になったものです。水分子が規則正しく並んで固体になったものなので、氷は分子結晶です。
4 × 銅とアルミニウムは、金属結晶です。
金属の原子が規則正しく並んでできた固体を、金属結晶といいます。
銅 Cu もアルミニウム Al も金属であり、これらの原子からできた結晶は金属結晶です。
5 × 酸化カルシウムと硫酸カルシウムは、イオン結晶です。
酸化カルシウム CaO は、陽イオンであるカルシウムイオン Ca2+ と、陰イオンである酸化物イオン O2- が静電気的な引力(クーロン力)で固定されてできたイオン結晶です。
硫酸カルシウム CaSO4 は、陽イオンであるカルシウムイオン Ca2+ と、陰イオンである硫酸イオン SO42- が静電気的な引力(クーロン力)で固定されてできたイオン結晶です。
問2 正解 3
ホウ素原子は原子番号が 5 の原子です。
原子番号が 5 なので、陽子の数が 5 個となり、原子核にある正の電荷は 5+ になります。
また原子がもつ陽子と電子の数は等しいので、ホウ素原子の電子は 5 個になります。
電子が 5 個あるので、内側の電子殻から電子は収容されます。
K 殻に入る電子の最大数は 2 個なので、電子は一番内側にある K 殻に 2 個入ります。そして、その外側の L 殻に 3 個入ります。
以上より、最も適当な選択肢は③です。
問3 正解 2
窒素原子が 7 個電子を持っているので、 N2 分子には電子は 14 個あります。
H2O 分子には 10 個 ( 1 × 2 + 8 ) の電子があります。
CO 分子には 14 個 ( 6 + 8 ) の電子があります。
OH- イオンには 10 個 ( 8 + 1 + 1 価の陰イオンなので 1 個の電子を受け取っています) の電子があります。
O2 分子には 16 個 ( 8 × 2 ) の電子があります。
Mg2+ イオンには 10 個 ( Mg は 12 個の電子を持つ原子ですが、これが 2 個の電子を失い 2 価の陽イオンになっています ) の電子があります。
問4 正解 3
1 つの X2Z3 分子のなかに、X 原子が 2 個と Z 原子が 3 個あります。
そこで、化学式が X2Z3 で表される物質の分子量(モル質量)は、2Mx + 3Mz となります。
物質 X2Z3 が 5g あるとき、この物質量は
$$\frac{5[g]}{2Mx + 3Mz[g/mol]}$$
となります。
X2Z3 が \(\frac{5}{2Mx + 3Mz}\) [mol]あることがわかりましたが、この X2Z3 1 分子には X 原子が 2 分子含まれます。
したがって、X 原子は \(\frac{5}{2Mx + 3Mz}\) × 2 [mol]あります。
X の質量は、X の物質量と X のモル質量 の積として求まります。
まとめると、X の質量は
$$\frac{5}{2Mx + 3Mz} \times 2 \times Mx [g]$$
です。
正解は③の
$$\frac{10Mx}{2Mx + 3Mz}[g]$$
問5 正解 ア 6 イ 3
ア
実験Ⅰで、アが水に溶けるかどうか確認できます。
水に溶けるのは①、②、⑤、⑥です。ほとんど溶けないのが③、④です。
実験Ⅱで炎色反応が黄色となるのは、ナトリウム(ナトリウムイオン)が含まれているためと考えられます。
また、硝酸銀水溶液を混合させて沈殿が生じるのは、塩素元素(塩化物イオン)が含まれているためと考えられます。(塩化銀 AgCl の沈殿は白色です。)
アを水に溶かすと、その水溶液にはナトリウムと塩素が含まれています。
これらより、アは塩化ナトリウム NaCl です。
イ
①~⑥の純物質のうち、水にほとんど溶けないのは炭酸カルシウム CaCO3 と硫酸バリウム BaSO4 です。
この 2 つの純物質のうち、弱酸の塩の炭酸カルシウムに強酸の塩酸を加えると、二酸化炭素が発生します。
(炭酸カルシウムは、弱酸の炭酸と強塩基の水酸化カルシウムの塩です。ここでは弱酸の遊離が起こり、炭酸が遊離します。炭酸は水と二酸化炭素に分解します。)
CaCO3 + 2 HCl → CaCl2 + CO2 + H2O
したがって、イは炭酸カルシウム CaCO3 です。
硫酸バリウム BaSO4 は塩酸と反応しません。
問6 正解 5
1 〇 少量の水が加熱され水蒸気となり、体積が増え袋が膨らみます。
2 〇 コップの外側に接する気体は冷やされます。水は高い温度では多くの水蒸気が気体の状態で存在しますが、低い温度では少量の水蒸気しか存在しません。このため、湿度の高い空気が冷やされ、水蒸気が水となってコップの外側につきます。
3 〇 水の融点、凝固点は 0 ℃です。(固体から液体になる温度、液体から固体になる温度は 0 ℃です。)純物質である水が融解するときは、氷が融け始めてから完全に液体になるまで 0 ℃を保ちます。
4 〇 水の沸点は 100 ℃です。(沸騰して液体から気体になる温度は 100 ℃です。)
5 × 水を凍らせると、その氷は水より体積が大きくなります。氷が水に浮くのは、氷の密度が水より小さいからです。
問7 正解 1
1 × 次亜塩素酸ナトリウム NaClO が塩素性漂白剤の主成分です。
2 〇 アルミニウムは 1 円硬貨やアルミ缶の材料です。
3 〇 銅は電気伝導性が大きい金属です。また、黄銅(真ちゅう)・青銅(ブロンズ)・白銅のように合金の材料となっています。
4 〇 Pポリ Eエチレン Tテレフタラートが、PETボトルの原料です。
5 〇 メタンは天然ガスから得られる無色無臭の気体で、都市ガスなどの燃料に利用されています。
第2問
問1 正解 1
水分子 H2O の分子量は 18 であり、モル質量は 18 g/mol です。
したがって 180 g の水の物質量は
$$\frac{180 [g]}{18 [g/mol]} = 10 [mol]$$
であるので、10 mol となります。
水分子が 10 mol あるので、水分子の個数は 10 N 個あります。
(1 mol の水分子があると、その個数はアボガドロ数の N 個となるので。)
1 × 水分子 1 個の中に水素原子は 2 個あります。いま水分子は 10 N 個あるので、水素原子は 20 N 個です。
2 〇 水分子 1 個には、水素原子 2 個と酸素原子 1 個があります。
それぞれの原子 1 個の中に原子核 1 個があるので、水分子 1 個のなかには、原子核が 3 個あります。
いま水分子は 10 N 個あるので、原子核は 30 N 個です。
3 〇 水 1 分子の中に共有電子対は 2 対あるので、共有結合している電子は 4 個あります。
いま水分子は 10 N 個あるので、共有結合に使われている電子は 40 N 個です。
4 〇 水 1 分子内の非共有電子対は、酸素原子に 2 対あります。
いま水分子は 10 N 個あるので、非共有電子対の数は 20 N 個です。
問2 正解 2
混合気体の体積が 1.0 L で、その体積比が 2:1 なので、
メタンは 1.0 × \(\frac{2}{3}\) [L]、二酸化炭素は 1.0 × \(\frac{1}{3}\) [L]あります。
また、メタン CH4 の分子量は 16 で、二酸化炭素 CO2 の分子量は 44 です。
この問題では、分子量が 16 で体積が \(\frac{2}{3}\) [L] のメタンの質量と、分子量が 44 で体積が \(\frac{1}{3}\) [L] の二酸化炭素の質量の和を求めます。
0 ℃、1.013 × 105 Pa の条件下では、気体 1 mol の体積は 22.4 L です。
したがって、メタンの質量は
1.0 [L] × \(\frac{2}{3}\) × \(\frac{1}{22.4[L/mol]}\) × 16 [g/mol]
同様に、二酸化炭素の質量は
1.0 [L] × \(\frac{1}{3}\) × \(\frac{1}{22.4[L/mol]}\) × 44 [g/mol]
これらの和が求める混合気体の質量です。
実際に計算すると
\(\frac{76}{67.2}\) = 1.13 ≒ 1.1
となり、②が正解です。
問3 正解 3
モル濃度とは、溶液 1 L に含まれる溶質の物質量です。単位は mol/L です。
溶液の密度と質量パーセント濃度がわかっているときは、まず 1 L の溶液の質量を求め、そこから溶質の質量を計算し、その溶質の質量をモル質量で割ることでモル濃度が求まります。
式で表すと
密度[g/cm3] × 1000[cm3/L] × \(\displaystyle\frac{質量パーセント濃度[%]}{100}\) × \(\displaystyle\frac{1}{モル質量[g/mol]}\)‥‥(A)
となります。
この問題の塩酸で計算してみると、
1.2[g/cm3] × 1000[cm3/L] × \(\frac{36.5[%]}{100}\) × \(\frac{1}{36.5[g/mol]}\) = 12[mol/L]
となります。
塩酸のモル濃度は、12 mol/L と計算できました。
他の3つの物質も、計算すれば解答できます。
ただし表を見ると、どの物質でも質量パーセント濃度とモル質量の値が同じです。
それならば、(A)式を見れば気付くように、密度が大きい物質がそのままモル濃度が一番高いとわかります。
したがって正解は、最も密度の大きい③です。
問4 正解 4
1 〇 炭酸水は弱酸性で、血液の pH の正常範囲は pH = 7.35 ~ 7.45 です。
2 〇 食酢は酸性で、牛乳はほぼ中性です。
3 〇 レモン果汁は酸性で、水道水はほぼ中性です。
4 × セッケン水は弱塩基性で、食塩水は中性(pH = 7)です。
問5 正解 5
炭酸水素ナトリウム NaHCO3 は、強塩基と弱酸の塩であり、弱塩基性です。
強酸である塩酸を加えていくと
NaHCO3 + HCl → NaCl + CO2 + H2O
という中和反応が進みます。
滴定の途中で CO2 が発生しており、炭酸水となるので pH は酸性側に動きます。
中和点の 25 mL を大きく超えると、強酸の 0.10 mol/L 塩酸を加えていくので、pH は 1 に近づいていきます。
まとめると、弱塩基の領域から中和滴定の操作が始まり、中和点では中性( pH = 7 )よりは酸性側であり、最終的に pH = 1 に近づいていきます。
当てはまる滴定曲線は⑤です。
問6 正解 2
ア × 酢酸ナトリウム CH3COONa は、弱酸である酢酸 CH3COOH と強塩基である水酸化ナトリウム NaOH の塩です。(この塩を水に溶かすと、塩基性を示します。)
アの反応式は、弱酸の塩である CH3COONa と強酸である塩酸 HCl が反応して、弱酸の CH3COOH が遊離する反応です。
この反応では、酸化数に変化はありません。
イ 〇 一酸化炭素 CO が酸化される反応です。C の酸化数が +2 → +4 となっています。
ウ × 金属の水酸化物 Cu(OH)2 と、強酸である硫酸 H2SO4 の反応です。
Cu(OH)2 は塩基なので、中和反応が起きて、水が生成します。
この反応では、どの原子も酸化数は変化しません。
エ 〇 マグネシウム原子が酸化され(酸化数 0 → +2)、水素原子が還元されています(酸化数 +1 → 0)。
それぞれの反応式は以下の通りです。
Mg → Mg2+ + 2e-
2H2O + 2e- → H2 + 2OH-
このように電子の受け渡しがあります。
この 2 式を足し合わせれば、エの反応式になります。
オ × 弱塩基であるアンモニア NH3 と強酸である硝酸 HNO3 の中和反応です。酸化数に変化はありません。
問7 正解 4
1 〇 アルカリマンガン乾電池は、正極が酸化マンガン(Ⅳ) MnO2 、負極が亜鉛 Zn 、電解質水溶液が水酸化カリウム KOH です。
なおマンガン乾電池は、正極が酸化マンガン(Ⅳ) MnO2 、負極が亜鉛 Zn です。電解質水溶液は塩化亜鉛 ZnCl2 で少量の塩化アンモニウム NH4Cl が加えられている場合もあります。電解質水溶液はのり状になっています。
2 〇 鉛蓄電池は、正極が酸化鉛(Ⅳ) PbO2 、負極が鉛 Pb 、電解質水溶液が希硫酸 H2SO4 です。
3 〇 酸化銀電池は、正極が酸化銀 Ag2O 、負極が亜鉛 Zn 、電解質水溶液が水酸化カリウム KOH などである一次電池です。
4 × リチウムイオン電池は充電が可能な二次電池です。充電できない電池が一次電池です。