物質をつくっている基本の成分を元素といいます。
元素は元素記号で表されます。
1 種類の元素でできている純物質を、単体といいます。
2 種類以上の元素でできている純物質を、化合物といいます。
もくじ
元素
物質を構成している基本の成分を、元素といいます。
元素は現在、110 種類余り存在します。天然に存在している元素は 90 種類ほどで、そのほかは人工的につくられた元素です。
身近に聞くことがある水素や酸素、炭素、鉄などは元素です。
元素記号
元素はアルファベット 1 文字または 2 文字の元素記号で表されます。
元素記号はラテン語などをもとにして、水素は H、炭素は C、酸素は O、鉄は Fe のように表します。元素名と元素記号の例を示します。
元素名 | 元素記号 |
水素( Hydrogen ) | H |
炭素( Carbon ) | C |
窒素( Nitrogen ) | N |
酸素( Oxygen ) | O |
アルミニウム( Aluminum ) | Al |
硫黄( Sulfur ) | S |
鉄( Iron , ラテン語名 Ferrum ) | Fe |
上の例は元素のほんの一部です。他の元素は周期表で確認できます。
すべての元素を性質ごとにまとめた表を元素の周期表といい、周期表には元素記号が配列されています。
単体・化合物
1 種類だけの元素でできている純物質を単体、2 種類以上の元素でできている純物質を化合物といいます。
例えば、水素の元素記号は H 、酸素の元素記号は O です。
身の回りにある水素は水素元素 H からできていて、酸素は酸素元素 O からできています。
このように水素と酸素は、それぞれ 1 種類の元素でできているので単体です。
これに対し水は、水素元素 H と酸素元素 O の 2 種類の元素でできています。2 種類の元素でできている水は、化合物です。
単体
ここで実際の物質として、ボンベに保管されている水素ガスと酸素ガスを想像してみましょう。水素ガスは H2 、酸素ガスは O2 と表されます。
水素ガスは H2 のように、水素の元素記号だけで表される物質です。1 種類だけの元素でできている物質ですから、単体です。
同じように酸素ガスは O2 と、酸素の元素記号だけで表される物質です。物質を構成する元素が 1 種類なので、単体です。
このように、水素ガスと酸素ガスは単体です。
ところで通常はもっと簡単に、「水素は単体です」といいます。このとき「」内の水素という言葉は、(暗黙の了解として)物質としての水素を指しています。
ですから「水素は単体です」という文章は、「(水素ガスのような物質である)水素は単体です」という意味です。
化学の問題で「水素は単体ですか?」ときかれた場合は、
「(元素の水素ではなくて水素ガスのような H2 で表される物質は単体ですか?と質問されているな、と頭の中で考えて)水素は単体です」と解答します。
同様に、酸素も(酸素ガス O2 のような物質を想像しつつ)単体と考えます。
最後に、単体の例を確認します。
水素 H2 、窒素 N2 、酸素 O2 、フッ素 F2 、ナトリウム Na 、マグネシウム Mg 、アルミニウム Al 、塩素 Cl2 、カルシウム Ca 、鉄 Fe 、銅 Cu 、銀 Ag 、金 Au 。
これらは 1 種類の元素でできているので単体です。
化合物
水という物質は、水素元素 H と酸素元素 O を使い H2O と表されます。このように、水は 2 種類の元素で構成された物質ですので、化合物です。
2 種類以上の元素でできた化合物の例をあげます。
塩化ナトリウム NaCl 、二酸化炭素 CO2 、過酸化水素 H2O2 、二酸化窒素 NO2 、エタノール C2H6O 、メタン CH4 、塩化水素 HCl 、アンモニア NH3 、硝酸カリウム KNO3 。
注意することは、化合物は 2 種類以上の元素でできていますが、化合物は純物質です。
物質を構成する要素として複数の元素が含まれますが、化合物は他の物質が混ざっていない純粋な物質です。
混合物はいくつかの純物質が混じり合ったものですが、化合物はひとつの純物質で他には何も混ざっていません。まとめると下の図のようになります。
例として、混合物である食塩水は、純物質の塩化ナトリウムと純物質の水が混じった物質です。
純物質の塩化ナトリウムは NaCl と表される物質で、ナトリウム Na と塩素 Cl の2つの元素からできています。塩化ナトリウムは化合物です。
純物質の水は H2O と表され、2つの元素からなるので化合物です。
混合物と化合物の違いは、その性質からもわかります。
混合物である食塩水は、食塩と水の割合を(食塩の溶ける範囲で)自由に決めることができます。
しかし化合物である食塩(塩化ナトリウム)は、その質量の約 39.3% がナトリウム元素で、約 60.7% が塩素元素であると決まっています。
化合物である水も、その質量の約 12.4% が水素元素で、約 87.6% が酸素元素でできていると決まっています。
また、水とエタノールの混合物は、沸点がはっきり決まりません。しかし、化合物であり純物質である水は沸点 100℃ 、エタノールは沸点 78.3℃ と決まっています。
問題演習
確認テスト1
次の表は元素名と元素記号をまとめたものです。空欄を埋めてみましょう。
元素名 | 元素記号 |
水素 | |
ヘリウム | He |
リチウム | Li |
ベリリウム | Be |
ホウ素 | B |
C | |
窒素 | |
O | |
フッ素 | |
ネオン | Ne |
ナトリウム | |
マグネシウム | |
アルミニウム | Al |
ケイ素 | Si |
リン | |
硫黄 | |
Cl | |
アルゴン | Ar |
カリウム | |
カルシウム |
確認テスト2
次の物質を化合物と単体にわけてみましょう。
- 水素
- 水
- 酸素
- 二酸化炭素
- 窒素
- エタノール
- 塩化ナトリウム
- 鉄
- 黒鉛
- 塩素
- 塩化水素
- 銀
- アンモニア
- マグネシウム
- メタン
実践問題1(2018追第1問問1)
次の( a・b )に当てはまる二つの物質の組合せとして最も適当なものを、下の①~⑤のうちから一つずつ選べ。
a 単体と化合物
b 純物質と混合物
① ダイヤモンドと黒鉛
② 塩素と塩化ナトリウム
③ 塩化水素と塩酸
④ メタンとエタン
⑤ 希硫酸とアンモニア水
(2018年度センター試験 追試験 化学基礎 第1問 問1より引用)
実践問題2(2015本第1問問1)
単体でないものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① 黒鉛 ② 単斜硫黄 ③ 水銀
④ 赤リン ⑤ オゾン ⑥ 水晶
(2015年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問 問1より引用)