周期表(1)

ポイント

元素を原子番号順に並べると、周期的に性質の似た元素が現れます。これを元素の周期律といいます。

周期律に従って、性質の似た元素を整理した表を元素の周期表といいます。

元素の周期表では、縦の列を族、横の列を周期といいます。

縦の同じ族に並んだ元素を同族元素といいます。同族元素の性質は似ています。

原子の価電子の数と、族の数は対応しています。

1 族と 2 族、および 12 ~ 18 族に属する元素のことを典型元素といいます。典型元素では、同族元素はよく似た性質を示します。

典型元素では、その族番号の 1 の位の数字と、価電子の数が一致します。ただし 18 族元素は希ガスであり、価電子は 0 個とします。

3 ~ 11 族に属する元素のことを遷移元素といいます。遷移元素では、隣り合う元素同士は似た性質をもつことが多いです。

遷移元素では、価電子の数は 1 か 2 です。

元素の周期律と周期表

元素を原子番号順に並べると、周期的に性質の似た元素が現れます。このように、元素の性質が周期性を示すことを、元素の周期律といいます

19世紀ロシアの科学者メンデレーエフは、この周期律に気づき、原子番号(当時は原子量)の順に元素を表にまとめました。これを元素の周期表といいます。

周期表で元素をまとめると、元素が性質ごとに整理されて、とても理解しやすくなります。メンデレーエフの時代から周期表は改良されてきました。現在の周期表を以下に示します。

ウィキペディア(Wikipedia)より、項目「周期表」から引用

族と周期

周期表では縦の列を族横の列を周期といいます。現在の周期表では、族の数は 1 ~ 18、周期の数は 1 ~ 7 まであります。

具体的には、1 族の元素、14 族元素、18 族元素などと呼びます。また、第 2 周期の元素、第 3 周期元素などとも呼びます。

例えば、原子番号 6 の炭素元素 C は、第 2 周期の 14 族の元素です。また原子番号 17 の塩素元素 Cl は、第 3 周期の 17 族の元素です。

周期表での元素の並び方ですが、はじめに原子番号 1 の水素 H が、周期表の左上に入ります。

そのあと原子番号が 1 大きくなるたびに、元素は同じ周期の右横に入ります。元素が 18 族まで埋まると、次の周期(下段)に移ります。

第 1 周期は 2 つしか元素が入らないので、水素 H の次のヘリウム He はいきなり 18 族元素となります。

原子番号 3 のリチウム Li は第 2 周期の一番左から埋まります。第 2 周期では、3 族から 12 族までは入らず、2 族の次は 13 族の元素となります。

同様に第 3 周期でも、3 族から 12 族までは元素は入りません。第 4 周期から原子番号が 1 大きくなるたびに、右横の族の元素に入ります。

すべての元素は下のようにまとまっています。

元素の数は現在 110 種類あまり知られていますが、はじめは重要な元素だけ覚えておきましょう。

原子番号 1 の水素 H から原子番号 20 のカルシウム Ca までの 20 の元素と、その他いくつかの元素を知っておくとよいでしょう。

(下の周期表の黄色で示した元素は、覚えておきたい元素です。)

同族元素

縦の同じ族に並んだ元素を同族元素といい、これらの同族元素はそれぞれ性質が似ています。1 族の元素、2 族の元素、‥‥と縦に並んでいる元素同士は、だいたい似た性質をもっていると考えられます。

例えば、17 族の元素であるフッ素 F、塩素 Cl、臭素 Br、ヨウ素 I は同族元素であり、それぞれ似た性質をもっているといえます。

それではなぜ、同族元素は性質が似ているのでしょうか。これは、族ごとに価電子の数が決まっているためです。

原子の性質は、価電子の数によって大きな影響を受けます。これは原子が結合したり反応したりするときに、原子の最も外側にある電子が大きな役割をするためです。

つまり、原子の最外殻の電子が何個あるかが重要になるので、価電子の数で原子の性質が決まってきます

元素の周期表では、族の数と価電子の数が対応しています。そのため、価電子の数が同じである同族元素では、似た性質を示します

1 族の元素は価電子が 1 、2 族の元素は価電子が 2 です。

3 ~ 12 族の元素は価電子が 1 か 2 です。

それ以降の 13 族からは、1 の位の数字と価電子の数が一致します。

13 族の元素は価電子が 3 、14 族の元素は価電子が 4 、17 族の元素は価電子が 7 です。

18 族の元素は希ガスと呼ばれる元素で、反応性に乏しく他の原子と結合しにくいので価電子は 0 とされています。

典型元素と遷移元素

周期表の 1 族、2 族と 12 ~ 18 族に含まれる元素を、典型元素といいます。また、そのあいだにある 3 ~ 11 族に含まれる元素を遷移元素といいます。

典型元素では、価電子の数がそれぞれの族番号の 1 の位と一致します。典型元素は原子番号が 1 増えるごとに、価電子も 1 増えます。

典型元素は、その縦の列の同族元素で価電子の数が一致しており、似た性質になります。

これに対し遷移元素では、価電子の数は 1 または 2 です。遷移元素では原子番号が 1 増えても、内側の空いた電子殻に電子が入るため、最外殻の電子数は 1 か 2 のまま変わりません。

例えば、原子番号 21 のスカンジウム Sc は、第 4 周期の 3 族元素であり、遷移元素に分類されます。この Sc の価電子は 2 です。(最外殻の電子数が 2 です。)

Sc には電子が 21 個ありますが、電子配置はどうなっているのでしょうか。電子は内側の電子殻から入っていくので、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 8 個入ります。しかし、19 個目の電子は M 殻には入らずに N 殻に入ります。

20 個目の電子も M 殻に入らずに、N 殻に入ります。このとき電子配置は、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 8 個、N 殻に 2 個となっています。(原子番号 20 のカルシウム Ca はこの電子配置です。)

それでは、21 個目の電子はどうなるのでしょうか。21 個目の電子は、M 殻に入ります。そのため Sc の電子配置は、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 9 個、N 殻に 2 個となっています。

このように遷移元素である Sc は最外殻の電子数が N 殻の 2 個であり、価電子の数は 2 です。

続いて原子番号 22 のチタン Ti を考えます。Ti は第 4 周期の 4 族元素です。Ti の電子配置は、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 10 個、N 殻に 2 個となっています。

遷移元素の Ti は、やはり最外殻電子数が 2 で、価電子は 2 です。

スカンジウムやチタンの例で見たように、遷移元素では内側に空いた電子殻があるので、原子番号が増えてもそちらに電子が入ります。そのため価電子は 1 か 2 となります。

3 ~ 11 族の遷移元素は価電子の数が変わらないことが多いので、隣り合う元素同士の性質が似ています。

問題演習

確認テスト1

元素の周期表にある空欄を埋めてみましょう。

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確認テスト2

次の周期表を見ながら問題を解いてみましょう。

1.元素を原子番号順に並べると、似た性質を示す元素が周期的に現れます。この規則のことを何といいますか。

2.周期表では縦の列を族といいますが、横の列を何といいますか。

3.1 族の元素は、価電子を何個もちますか。

4.13 族の元素は、価電子を何個もちますか。

5.18 族の元素は、価電子を何個もちますか。

6.同族元素が似た性質を示すのはなぜですか。

7.ヘリウム、ベリリウム、鉄、カリウム、銅、水銀、窒素、アルゴン、銀、バリウム、フッ素。これらの元素はそれぞれ典型元素ですか、遷移元素ですか。

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1.周期律

2.周期

3.1 族元素は最外殻に電子を 1 個もつ元素であり、価電子は 1 個です。

4.13 族元素は最外殻に電子を 3 個もつ元素であり、価電子は 3 個です。

5.18 族元素は希ガスと呼ばれ、最外殻に電子を 8 個(ヘリウムは 2 個)もちますが、価電子は 0 個とします。

6.典型元素では同族元素の価電子は、どの元素でも同じ数です。最外殻の電子数が、原子の性質に大きな影響を及ぼします。そのため、価電子の数が同じ元素は、たがいに似た性質を示します。

7.1、2、12 ~ 18 族の元素が典型元素です。3 ~ 11 族の元素が遷移元素です。

典型元素遷移元素
ヘリウム He (18族)
ベリリウム Be(2族)
鉄 Fe (8族)
カリウム K (1族)
銅 Cu (11族)
水銀 Hg (12族)
窒素 N (15族)
アルゴン Ar (18族)
銀 Ag (11族)
バリウム Ba (2族)
フッ素 F (17族)

実践問題1(2020本第1問問2)

周期表の 1 ~ 18 族・第 1 ~第 5 周期までの概略を図 1 に示した。図中の太枠で囲んだ領域に関する記述として誤りを含むものを、下の①~⑤のうちから一つ選べ。

① は、すべて典型元素である。

② は、すべて遷移元素である。

③ は、すべて遷移元素である。

④ は、すべて典型元素である。

⑤ は、すべて典型元素である。

(2020年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問問2 より引用)

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正解 3

オの部分は典型元素です。

3 族から 11 族の範囲が遷移元素です。それ以外の 1 ~ 2 族、12 ~ 18 族は典型元素です。( 12 族を遷移元素に含めるものもあります。)

1 〇 1 族と 2 族は典型元素です。

2 〇 3 ~ 11 族は遷移元素です。

3 × 12 ~ 15 族はすべて典型元素です。

4 〇 13 ~ 16 族はすべて典型元素です。

5 〇 17 族は典型元素で、ハロゲンと呼ばれます。18 族は典型元素で、希ガスと呼ばれます。

実践問題2(2017追第1問問2)

最外殻電子の数が酸素原子のそれと同じである原子を、次の①~⑧のうちから一つ選べ。

① Al    ② C    ③ Cl    ④ Li

⑤ Mg    ⑥ Ne    ⑦ P    ⑧ S

(2017年度センター試験 追試験 化学基礎 第1問問2 より引用)

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正解 8

酸素原子 O は 16 族の典型元素で、価電子は 6 、最外殻の電子数は 6 です。

①~⑧のなかで 16 族の元素があれば、酸素原子と最外殻の電子数は同じです。

なお酸素原子は原子番号が 8 であり、陽子数と電子数は 8 個です。K 殻に 2 個、L 殻に 6 個の電子が入っています。

1 × Al は 13 族の元素です。Al は原子番号が 13 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 3 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 3 個)

2 × C は 14 族の元素です。C は原子番号が 6 で、K 殻に 2 個、L 殻に 4 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 4 個)

3 × Cl は 17 族の元素です。Cl は原子番号が 17 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 7 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 7 個)

4 × Li は 1 族の元素です。Li は原子番号が 3 で、K 殻に 2 個、L 殻に 1 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 1 個)

5 × Mg は 2 族の元素です。Mg は原子番号が 12 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 2 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 2 個)

6 × Ne は 18 族の元素です。Ne は原子番号が 10 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個の電子が入っています。(最外殻電子は 8 個)

7 × P は 15 族の元素です。P は原子番号が 15 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 5 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 5 個)

8 〇 S は 16 族の元素です。S は原子番号が 16 で、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 6 個の電子が入っています。(最外殻電子数は 6 個)