元素を原子番号順に並べると、周期的に性質の似た元素が現れます。これを元素の周期律といいます。
周期律に従って、性質の似た元素を整理した表を元素の周期表といいます。
元素の周期表では、縦の列を族、横の列を周期といいます。
縦の同じ族に並んだ元素を同族元素といいます。同族元素の性質は似ています。
原子の価電子の数と、族の数は対応しています。
1 族と 2 族、および 12 ~ 18 族に属する元素のことを典型元素といいます。典型元素では、同族元素はよく似た性質を示します。
典型元素では、その族番号の 1 の位の数字と、価電子の数が一致します。ただし 18 族元素は希ガスであり、価電子は 0 個とします。
3 ~ 11 族に属する元素のことを遷移元素といいます。遷移元素では、隣り合う元素同士は似た性質をもつことが多いです。
遷移元素では、価電子の数は 1 か 2 です。
もくじ
元素の周期律と周期表
元素を原子番号順に並べると、周期的に性質の似た元素が現れます。このように、元素の性質が周期性を示すことを、元素の周期律といいます。
19世紀ロシアの科学者メンデレーエフは、この周期律に気づき、原子番号(当時は原子量)の順に元素を表にまとめました。これを元素の周期表といいます。
周期表で元素をまとめると、元素が性質ごとに整理されて、とても理解しやすくなります。メンデレーエフの時代から周期表は改良されてきました。現在の周期表を以下に示します。
族と周期
周期表では縦の列を族、横の列を周期といいます。現在の周期表では、族の数は 1 ~ 18、周期の数は 1 ~ 7 まであります。
具体的には、1 族の元素、14 族元素、18 族元素などと呼びます。また、第 2 周期の元素、第 3 周期元素などとも呼びます。
例えば、原子番号 6 の炭素元素 C は、第 2 周期の 14 族の元素です。また原子番号 17 の塩素元素 Cl は、第 3 周期の 17 族の元素です。
周期表での元素の並び方ですが、はじめに原子番号 1 の水素 H が、周期表の左上に入ります。
そのあと原子番号が 1 大きくなるたびに、元素は同じ周期の右横に入ります。元素が 18 族まで埋まると、次の周期(下段)に移ります。
第 1 周期は 2 つしか元素が入らないので、水素 H の次のヘリウム He はいきなり 18 族元素となります。
原子番号 3 のリチウム Li は第 2 周期の一番左から埋まります。第 2 周期では、3 族から 12 族までは入らず、2 族の次は 13 族の元素となります。
同様に第 3 周期でも、3 族から 12 族までは元素は入りません。第 4 周期から原子番号が 1 大きくなるたびに、右横の族の元素に入ります。
すべての元素は下のようにまとまっています。
元素の数は現在 110 種類あまり知られていますが、はじめは重要な元素だけ覚えておきましょう。
原子番号 1 の水素 H から原子番号 20 のカルシウム Ca までの 20 の元素と、その他いくつかの元素を知っておくとよいでしょう。
(下の周期表の黄色で示した元素は、覚えておきたい元素です。)
同族元素
縦の同じ族に並んだ元素を同族元素といい、これらの同族元素はそれぞれ性質が似ています。1 族の元素、2 族の元素、‥‥と縦に並んでいる元素同士は、だいたい似た性質をもっていると考えられます。
例えば、17 族の元素であるフッ素 F、塩素 Cl、臭素 Br、ヨウ素 I は同族元素であり、それぞれ似た性質をもっているといえます。
それではなぜ、同族元素は性質が似ているのでしょうか。これは、族ごとに価電子の数が決まっているためです。
原子の性質は、価電子の数によって大きな影響を受けます。これは原子が結合したり反応したりするときに、原子の最も外側にある電子が大きな役割をするためです。
つまり、原子の最外殻の電子が何個あるかが重要になるので、価電子の数で原子の性質が決まってきます。
元素の周期表では、族の数と価電子の数が対応しています。そのため、価電子の数が同じである同族元素では、似た性質を示します。
1 族の元素は価電子が 1 、2 族の元素は価電子が 2 です。
3 ~ 12 族の元素は価電子が 1 か 2 です。
それ以降の 13 族からは、1 の位の数字と価電子の数が一致します。
13 族の元素は価電子が 3 、14 族の元素は価電子が 4 、17 族の元素は価電子が 7 です。
18 族の元素は希ガスと呼ばれる元素で、反応性に乏しく他の原子と結合しにくいので価電子は 0 とされています。
典型元素と遷移元素
周期表の 1 族、2 族と 12 ~ 18 族に含まれる元素を、典型元素といいます。また、そのあいだにある 3 ~ 11 族に含まれる元素を遷移元素といいます。
典型元素では、価電子の数がそれぞれの族番号の 1 の位と一致します。典型元素は原子番号が 1 増えるごとに、価電子も 1 増えます。
典型元素は、その縦の列の同族元素で価電子の数が一致しており、似た性質になります。
これに対し遷移元素では、価電子の数は 1 または 2 です。遷移元素では原子番号が 1 増えても、内側の空いた電子殻に電子が入るため、最外殻の電子数は 1 か 2 のまま変わりません。
例えば、原子番号 21 のスカンジウム Sc は、第 4 周期の 3 族元素であり、遷移元素に分類されます。この Sc の価電子は 2 です。(最外殻の電子数が 2 です。)
Sc には電子が 21 個ありますが、電子配置はどうなっているのでしょうか。電子は内側の電子殻から入っていくので、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 8 個入ります。しかし、19 個目の電子は M 殻には入らずに N 殻に入ります。
20 個目の電子も M 殻に入らずに、N 殻に入ります。このとき電子配置は、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 8 個、N 殻に 2 個となっています。(原子番号 20 のカルシウム Ca はこの電子配置です。)
それでは、21 個目の電子はどうなるのでしょうか。21 個目の電子は、M 殻に入ります。そのため Sc の電子配置は、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 9 個、N 殻に 2 個となっています。
このように遷移元素である Sc は最外殻の電子数が N 殻の 2 個であり、価電子の数は 2 です。
続いて原子番号 22 のチタン Ti を考えます。Ti は第 4 周期の 4 族元素です。Ti の電子配置は、K 殻に 2 個、L 殻に 8 個、M 殻に 10 個、N 殻に 2 個となっています。
遷移元素の Ti は、やはり最外殻電子数が 2 で、価電子は 2 です。
スカンジウムやチタンの例で見たように、遷移元素では内側に空いた電子殻があるので、原子番号が増えてもそちらに電子が入ります。そのため価電子は 1 か 2 となります。
3 ~ 11 族の遷移元素は価電子の数が変わらないことが多いので、隣り合う元素同士の性質が似ています。
問題演習
確認テスト1
元素の周期表にある空欄を埋めてみましょう。
確認テスト2
次の周期表を見ながら問題を解いてみましょう。
1.元素を原子番号順に並べると、似た性質を示す元素が周期的に現れます。この規則のことを何といいますか。
2.周期表では縦の列を族といいますが、横の列を何といいますか。
3.1 族の元素は、価電子を何個もちますか。
4.13 族の元素は、価電子を何個もちますか。
5.18 族の元素は、価電子を何個もちますか。
6.同族元素が似た性質を示すのはなぜですか。
7.ヘリウム、ベリリウム、鉄、カリウム、銅、水銀、窒素、アルゴン、銀、バリウム、フッ素。これらの元素はそれぞれ典型元素ですか、遷移元素ですか。
実践問題1(2020本第1問問2)
周期表の 1 ~ 18 族・第 1 ~第 5 周期までの概略を図 1 に示した。図中の太枠で囲んだ領域ア~クに関する記述として誤りを含むものを、下の①~⑤のうちから一つ選べ。
① アとイとウは、すべて典型元素である。
② エは、すべて遷移元素である。
③ オは、すべて遷移元素である。
④ カは、すべて典型元素である。
⑤ キとクは、すべて典型元素である。
(2020年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問問2 より引用)
実践問題2(2017追第1問問2)
最外殻電子の数が酸素原子のそれと同じである原子を、次の①~⑧のうちから一つ選べ。
① Al ② C ③ Cl ④ Li
⑤ Mg ⑥ Ne ⑦ P ⑧ S
(2017年度センター試験 追試験 化学基礎 第1問問2 より引用)