単原子でできた陽イオンは、元素名をそのままつけてイオンの名称にします。
2つ以上の価数をもつ元素では、ローマ数字を用いて表します。
単原子で陰イオンとなるものは、元素名の語尾を~化物と変えて名前をつけます。
酸素元素をもつ酸が、電離して陰イオンとなったとき、~酸イオンといいます。
イオンが生成するとき、電荷の合計はその変化の前後で一定です。
もくじ
イオンの名称
イオンの名前のつけ方を覚えましょう。
陽イオン
単原子でできた陽イオンは、元素名をそのままつけてイオンの名称にします。
水素イオン H+ 、ナトリウムイオン Na+ 、カルシウムイオン Ca2+ 、アルミニウムイオン Al3+ などです。
元素のなかには、2 つ以上のイオン価数をもつものがあります。これらは括弧内にローマ数字を入れて表します。
例えば鉄 Fe は、2 価の陽イオン Fe2+ と 3 価の陽イオン Fe3+ があります。これは Fe2+ を鉄(Ⅱ)イオン、Fe3+ を鉄(Ⅲ)イオンと書きます。
また、銅(Ⅰ)イオンは 1 価の陽イオンで Cu+ と書け、銅(Ⅱ)イオンは 2 価の陽イオンで Cu2+ と書けます。
このほか 2 価の陽イオンでは、スズ(Ⅱ)イオンは Sn2+ 、マンガン(Ⅱ)イオンは Mn2+ 、ニッケル(Ⅱ)イオンは Ni2+ のように書けます。
3価の陽イオンでは、クロム(Ⅲ)イオンは Cr3+ 、コバルト(Ⅲ)イオンは Co3+ のように書けます。
陰イオン
単原子で陰イオンとなるものは、元素名の語尾を~化物と変えて名前をつけます。
塩素原子 Cl が陰イオン Cl- となると、 これを塩化物イオンと呼びます。
その他、臭素原子 Br が陰イオン Br- となると臭化物イオンといい、酸素原子 O が陰イオン O2- となると酸化物イオンといいます。
また OH- は単原子イオンではないですが、水酸化物イオンと呼ばれます。
酸素元素をもつ酸が、電離して陰イオンとなったとき、~酸イオンといいます。
例えば硝酸は HNO3 で、これが電離すると NO3- という陰イオンが生じます。この陰イオン NO3- を硝酸イオンと呼びます。
他にも、酢酸イオン CH3COO- 、硫酸イオン SO42- 、炭酸イオン CO32- 、リン酸イオン PO43- などがあります。
イオンが生成する式をつくる
原子が電子を受け取るか放出すると、イオンになります。この変化を式で表してみましょう。
このとき電子は e- のように、アルファベット小文字の e にマイナス 1 の電荷をつけて表記します。
ナトリウム原子 Na が 1 個の電子 e- を放出してナトリウムイオン Na+ になる変化は、
と表されます。
このとき、イオンが生成する変化の前後で、電荷の合計は一定のままです。
はじめの左辺にあるナトリウム原子は、電気的に中性です。
反応後に右辺にあるように、ナトリウムイオン Na+ と電子 e- に分かれても、電子 1 個分のプラス( Na+ )と電子 1 個分のマイナス( e- )なので、合計すると電気的に中性です。
したがって変化の前も後も、合計の電荷は 0 で一定でした。
逆にナトリウムイオン Na+ が1個の電子 e- を受け取ってナトリウム原子 Na になる変化は、
となります。
こちらも、変化の前後で電荷の合計は一定です。
原子だけでなく電解質でも、イオンとなる変化は同様に式で書けます。
塩化ナトリウム NaCl は水に溶かすと、ナトリウムイオン Na+ と塩化物イオン Cl- に電離するので、
と書けます。
電荷について確認すると、イオンが生成しても電荷の合計に変化はありません。
式の左側では、NaCl は電気的に中性です。
式の右側では、Na+ は 1 個分の電子がプラスであり、Cl- は 1 個分の電子がマイナスです。したがって合計すると、電気的に中性です。
問題演習
確認テスト1
さまざまなイオンの名称を答えましょう。
H+ | |
Na+ | |
K+ | |
NH4+ | |
Cu+ | |
Mg2+ | |
Ca2+ | |
Fe2+ | |
Cu2+ | |
Ba2+ | |
Zn2+ | |
Al3+ | |
Fe3+ | |
F- | |
Cl- | |
Br- | |
I- | |
OH- | |
NO3- | |
HCO3- | |
CH3COO- | |
O2- | |
S2- | |
CO32- | |
SO42- | |
(COO)22- | |
PO43- |
確認テスト2
以下の物質がイオンになるときの式を考えましょう。
- H
- Na
- Ca
- KCl
- HNO3
- CH3COOH
- Na2SO4
実践問題1(2015本第1問問2)
原子やイオンの電子配置に関連する記述として誤りを含むものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① ナトリウム原子の K 殻には、2 個の電子が入っている。
② マグネシウム原子の M 殻には、2 個の電子が入っている。
③ リチウムイオン( Li+ )とヘリウム原子の電子配置は同じである。
④ カルシウムイオン( Ca2+ )とアルゴン原子の電子配置は同じである。
⑤ フッ素原子は、6 個の価電子をもつ。
⑥ ケイ素原子は、4 個の価電子をもつ。
(2015年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問問2 より引用)