高分子化合物とは

ポイント

高分子化合物とは、非常に多くの原子が共有結合した、体積が大きくて重い分子のことをいいます。

高分子化合物には、工業的につくられたものや、生物がつくりだしたものがあります。

高分子化合物とは何か

高分子化合物とは、非常に多くの原子が共有結合した、体積が大きくて重い分子のことをいいます。

(一般に分子量が 10000 以上の化合物を、高分子化合物といいます。まだ分子量は学習していないので、巨大な分子だと知っておけばよいです。)

高分子化合物は、小さな分子が繰り返し共有結合でつながることで、大きな分子になっています。(一部の高分子化合物は異なります。)

例えば、ポリエチレンという高分子化合物があります。ポリエチレンは、レジ袋やフィルムなどの素材として使われています。

ポリエチレンは、エチレンという小さい分子が繰り返し結合してできています。

エチレン分子内の二重結合が切れて、近くにある他のエチレン分子と共有結合をつくると、少し大きな分子ができます。これを繰り返すと、巨大な分子になります。

高分子化合物の例

工業的に生産されている高分子化合物の例には、

  • ポリ塩化ビニル(水道管などに使われる)
  • ポリプロピレン(容器や部品などに使われる)
  • ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂と呼ばれ、ペットボトルに使われる)

などがあります。

高分子化合物は工業製品だけでなく、生物の体内にも多くあります。

なお高分子化合物は、一種類の分子だけが結合してできているとは限りません。生物がつくる高分子化合物では、多くの種類の分子が繰り返し結合してできています。

タンパク質は高分子化合物であり、これはアミノ酸という分子が多く結合してできています。アミノ酸は 20 種類ほどあり、アミノ酸の結合の仕方で、さまざまなタンパク質が生じます。

このほか、糖であるグルコース分子が多く結合してできたデンプン、遺伝情報をもっている DNA などは生物由来の高分子化合物です。

問題演習

確認テスト1

次の物質のうち、高分子化合物であるものを選びましょう。

  1. ポリエチレンテレフタレート
  2. アクリロニトリル
  3. 塩化カルシウム
  4. ポリ塩化ビニル
  5. ガラクトース
  6. デンプン
  7. DNA
  8. プロパン
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正解 1、4、6、7

多くの分子が共有結合して、体積が大きく重い高分子化合物となっているのは上の 4 つです。

実践問題1

高分子化合物に関する記述として誤りを含むものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。誤りがなければ⑥を選べ。

① ポリエチレンは、炭素と水素だけからなる高分子化合物で、ポリ袋などに用いられる。

② ポリエチレンテレフタレートは、飲料用ボトルに用いられている。

③ プラスチックの廃棄が環境問題を引き起こすのは、ほとんどのプラスチックが自然界で 分解されにくいからである。

④ プラスチックは、分子量の小さな分子が重合してできた高分子化合物からできている。

⑤ プラスチックは、おもに石油からつくり出される高分子化合物である。

(①~⑤はすべてセンター試験の問題から一部を引用したものである。

①は 2020 年本試験第 1 問問 7 より、②は 2018 年本試験第 1 問問 7 より、③は 2017 年本試験第 1 問問 7 より、④は 2017 年追試験第 1 問問 7 より、⑤は 2015 年本試験第 1 問問 7 より一部を引用した。)

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正解 6

1 〇 本文中の解説にあるように、エチレン C2H4 が連続的に反応してできた高分子がポリエチレンです。

エチレン C2H4 は炭素原子と水素原子だけでできており、これが連続してつながってできたポリエチレンも、炭素原子と水素原子だけからなります。

ポリ袋の素材としてポリエチレンは使われます。

2 〇 Pポリ Eエチレン Tテレフタラートは、PETボトルの原料です。

PETはポリとエチレンとテレフタレートの頭文字をとっています。

3 〇 プラスチックは微生物によってほとんど分解されないので、廃棄されたあといつまでも自然環境中に残存して問題となります。

4 〇 プラスチックは、小さな分子が繰り返し反応して結合することで、大きな高分子化合物となります。

このように、小さな分子が繰り返し反応してつながり大きな分子となることを、重合といいます。

5 〇 プラスチックは主に石油を原料とする有機化合物であり、分子量の大きな高分子化合物です。