イオン化傾向が大きい金属は、空気中の酸素と容易に反応して酸化物になります。
イオン化傾向が大きい金属は、水と激しく反応します。
もくじ
金属の反応性
空気中での反応
イオン化傾向が大きい金属は、電子を失って酸化され、陽イオンになりやすいです。一般に、イオン化傾向が大きい金属は容易に酸化されるので、反応性が高いといえます。
金属の単体を空気中に放置したとき、イオン化傾向が大きい金属は酸素と結びついて酸化されます。

リチウム Li からナトリウム Na までの金属は、常温で速やかに酸化され、酸化物となります。Li 、K 、Ca 、Na に限らず、アルカリ金属とアルカリ土類金属の元素は、空気中で速やかに酸化されます。
マグネシウム Mg から銅 Cu までの金属は、空気中でゆっくりと酸化され、酸化物が生じます。あるいは、空気中で加熱することで酸化されます。
水銀 Hg から金 Au までの金属は、一般に酸化されません。
まとめると以下の通りです。

水との反応
リチウム Li からナトリウム Na までの金属は、常温で水と激しく反応し、水素 H2 を発生します。
例えば Na では、電子を相手に与える還元剤としてはたらき、自身は酸化され陽イオンになります。
Na → Na+ + e- ‥‥(A)
水が電子を受け取り、H2 が発生します。
2 H2O + 2 e- → H2 + 2 OH- ‥‥(B)
(A)(B)をまとめると、次のような化学反応式になります。
2 Na + 2 H2O → H2 + 2 NaOH
マグネシウム Mg は常温の水とは反応しませんが、熱水と反応して H2 を発生します。
アルミニウム Al から鉄 Fe までの金属は、高温の水蒸気とは反応して H2 を発生します。
例えば Al では、次のように高温の水蒸気と反応して、H2 を発生します。
2 Al + 3 H2O → Al2O3 + 3 H2
ニッケル Ni 以降の金属は、水と反応しません。以上をまとめると、以下の通りです。

問題演習
確認テスト1
次の性質を示す金属を考えましょう。
- 空気中で速やかに酸化される。
- 空気中で加熱すると酸化される。
- 空気中で酸化されない。
- 常温の水と激しく反応して、H2 を発生する。
- 熱水と反応して、H2 を発生する。
- 高温の水蒸気と反応して、H2 を発生する。
- 水とは反応しない。
実践問題1(2017追第2問問3)
金属の Ag 、Al 、Ca 、Fe 、Li を、常温の水および希硫酸に対する反応性で分類した。その分類として最も適当なものを、次の①~⑧のうちから一つ選べ。

(2017年度センター試験 追試験 化学基礎 第2問問3 より引用)
実践問題2(2015追第2問問7)
金属の単体の反応に関する記述として誤りを含むものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 銀は、希硫酸と反応して水素を発生する。
② カルシウムは、水と反応して水素を発生する。
③ 亜鉛は、塩酸と反応して水素を発生する。
④ スズは、希硫酸と反応して水素を発生する。
⑤ アルミニウムは、高温の水蒸気と反応して水素を発生する。
(2015年度センター試験 追試験 化学基礎 第2問問7 より引用)