ビタミン C 、食塩、塩素、洗剤、酸性雨について学びます。
もくじ
食品・日用品・環境問題
食品添加物
ビタミン C(アスコルビン酸)は、水によく溶ける安価で安全性の高い物質です。ビタミン C は還元作用があるので、還元剤として使われます。
ビタミン C を食品添加物として使うと、食品が酸化されて風味が劣化するのを防ぐことができます。この場合は酸化防止剤と表示されることが多いです。
ビタミン C の効果は、レモン果汁をリンゴの切り口にかけるとリンゴの変色が防げるという身近な例で、実感できるでしょう。
(レモン果汁に含まれるビタミン C が、酸化によるリンゴの変色を防ぎます。)
食塩
食塩の主成分は塩化ナトリウムで、人間の生存に必須な物質です。ただし、食塩(塩化ナトリウム)を過剰に摂取すると、高血圧など健康に害となるおそれもあります。
調味料など食品中の塩分量を認識して、食塩を摂り過ぎないように食事に気を配りましょう。
塩素
塩素は黄緑色の有毒な気体です。塩素には殺菌や漂白の作用があります。
塩素の殺菌作用を利用して、塩素は水道水の消毒に使われています。家庭の蛇口から出る水道水は、人体に影響がなく、かつ細菌を殺菌できるような塩素濃度に調整されています。
洗剤
セッケンのような洗剤には、水になじみやすい部分と油になじみやすい部分の両方をもつ分子が含まれています。
このような分子を水に溶かすと、水になじみやすい部分を外側に、油になじみやすい部分を内側にしてまとまります。この分子のまとまりをミセルといいます。
この分子のミセルが、衣服の繊維に付いた汚れを取り除きます。汚れはミセルの内側の油になじみやすい部分に取り込まれ、衣服の繊維から汚れが離れます。
洗浄効果が最も高くなる洗剤の濃度は決まっているので、洗剤は使い過ぎずに決められた使用量を守りましょう。使い過ぎると下水を通じて、河川や海の環境に悪影響を与えます。
酸性雨
空気中には二酸化炭素が含まれていて、雨水は二酸化炭素が溶け込んでいます。二酸化炭素が溶けた水を炭酸水といいますが、炭酸水は弱酸性を示します。
そのため、自然な状態でも雨水は弱酸性です。空気中の二酸化炭素が十分に雨水に溶け込んだとき、pH は 5.6 程度になります。
化石燃料を燃焼させると、二酸化窒素や二酸化硫黄など、窒素酸化物や硫黄酸化物が排出されます。これらが空気中で雨水に溶けると、酸性の雨となります。
pH が 5.6 より小さい酸性の状態になった雨を、酸性雨といいます。酸性雨は生態系に悪影響を与えたり、建築物の腐食を進めるなどの問題があります。
実践問題
問1(2020本第1問問7)
生活に関わる物質の記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
① 二酸化ケイ素は、ボーキサイトの主成分であり、ガラスやシリカゲルの原料として使用される。
② 塩素は、殺菌作用があるので、浄水場で水の消毒に使用されている。
③ ポリエチレンは、炭素と水素だけからなる高分子化合物で、ポリ袋などに用いられる。
④ 白金は、空気中で化学的に変化しにくく、宝飾品に用いられる。
(2020年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問問7 より引用)
問2(2019本第1問問7)
イオンからなる身のまわりの物質に関する次の記述( a ~ c )に当てはまるものを、下の①~⑤のうちから一つずつ選べ。
a 水に溶けると塩基性を示し、ベーキングパウダー(ふくらし粉)に主成分として含まれる。
b 水にも塩酸にもきわめて溶けにくく、胃の X 線(レントゲン)撮影の造影剤に用いられる。
c 水に溶けると中性を示し、乾燥材に用いられる。
① 塩化カルシウム
② 炭酸水素ナトリウム
③ 炭酸ナトリウム
④ 炭酸カルシウム
⑤ 硫酸バリウム
(2019年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問問7 より引用)
問3(2018本第1問問7)
物質の用途に関する記述として誤りを含むものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 塩化ナトリウムは、塩素系漂白剤の主成分として利用されている。
② アルミニウムは、1 円硬貨や飲料用の缶の材料として用いられている。
③ 銅は、電線や合金の材料として用いられている。
④ ポリエチレンテレフタレートは、飲料用ボトルに用いられている。
⑤ メタンは、都市ガスに利用されている。
(2018年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問問7 より引用)
問4(2017本第1問問7)
日常生活に関連する物質の記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① アルミニウムの製造に必要なエネルギーは、鉱石から製錬するより、リサイクルする方が節約できる。
② 油で揚げたスナック菓子の袋に窒素が充填(じゅうてん)されているのは、油が酸化されるのを防ぐためである。
③ 塩素が水道水に加えられているのは、pH を調整するためである。
④ プラスチックの廃棄が環境問題を引き起こすのは、ほとんどのプラスチックが自然界で分解されにくいからである。
⑤ 雨水には空気中の二酸化炭素が溶けているため、大気汚染の影響がなくてもその pH は 7 より小さい。
⑥ 一般の洗剤には、水になじみやすい部分と油になじみやすい部分とをあわせもつ分子が含まれる。
(2017年度センター試験 本試験 化学基礎 第1問問7 より引用)
問5(2017追第1問問7)
日常生活で用いられている物質に関する記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
① ビタミン C(アスコルビン酸)は、食品の着色料として用いられる。
② ステンレス鋼は、鉄の合金でありさびにくい。
③ プラスチックは、分子量の小さな分子が重合してできた高分子化合物からできている。
④ 炭酸水素ナトリウムは、加熱すると気体を発生するのでベーキングパウダーとして調理に用いられる。
⑤ 塩化カルシウムは、除湿剤や乾燥剤として用いられる。
⑥ アンモニアは、肥料の原料として用いられる。
(2017年度センター試験 追試験 化学基礎 第1問問7 より引用)
問6(2015追第1問問7)
生活に関わる物質の記述として下線部に誤りを含むものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① ステンレス鋼は、鉄とアルミニウムの合金であり、さびにくいため流し台などに用いられる。
② セッケンなどの洗剤には、その構造の中に水になじみやすい部分と油になじみやすい部分がある。
③ 塩素は、水道水などの殺菌に利用されている。
④ ビタミン C(アスコルビン酸)は、食品の酸化防止剤として用いられる。
⑤ 生石灰(酸化カルシウム)は、吸湿性が強いので、焼き海苔(のり)などの保存に用いられる。
(2015年度センター試験 追試験 化学基礎 第1問問7 より引用)